コミュ障なんて大した問題ではない

先日、留学中に一時帰国していた友達がまた留学先に戻るということで、その子の彼氏と一緒に見送りに行った。
私が彼に会うのは初めてだった。
 
彼は、いつも友達から話を聞いている通り、背が高くて、細くて、でも小動物のように可愛らしい雰囲気をまとった、かなりのコミュ障だった。
彼は小さく会釈して「どうも」と言ったくらいで、ほとんど何も話さなかった。
 
私が何か話さなくては、と思い、彼に「いつもいつも、彼女から話を聞いていて…」と言いかけた。
まずい、と思った。
彼女から聞いている彼の話は、ほぼ愚痴だからだ。
「話を聞いている」だけでも「どうせ愚痴だろ」と思われるだろう。
 
私は咄嗟に、「…いつも良いお話ばかり聞いていて、本当に良い印象を持っています」と言った。
 
我ながら、「良い印象」って何だ?と思った。
全体的に、漠然とした表現にも程があった。
急な路線変更がばれたかもしれない、と思った。
 
しかし私の友達は、「なんて素晴らしいことを言ってくれるんだ」と言って嬉しそうにしていた。私は安心した。
ちなみに彼は、後になって私のことを「コミュ力の高い人だね」と言っていたそうだ。君と比べたらそうかもね、と思った。
 
ただ、彼女がする彼の話はいつも「良い話」だということは間違いない。
例えば既読無視してくるとか、体型をからかってくるとか、愚痴は愚痴かもしれないけれど、彼女が彼を大切に思っていることは伝わってくるし、そんな彼女が描写する彼はとても魅力的に聞こえる。
 
実際会ってみて、彼は本当に彼女を思いやっている人なのだなと感じた。
私に対しては確かにコミュ障っぽさがあったけれど、それはその友達と彼の二人だけの関係性においてはどうでもいいことだ。
 
コミュ障というのは大した欠点ではないな、と思った。